更年期

更年期と生理不調共通点と相違点

女性にとって、生理や更年期時期における不調に出会う場面があります。生理不順、生理痛、PMS(月経前症候群)、更年期障害など、様々な症状のある女性特有の症状に悩まされることは非常に辛いものです。更年期と生理不調の間には、いくつかの共通点と相違点があります。この記事では、更年期と生理不調について詳しく説明し、2つの状態の違いを明確にします。

 

生理不順と更年期

生理不順や生理痛は若い女性が経験することが多く、女性ホルモンの変化によって引き起こされる結果です。乱れた生活リズム、ストレス、栄養不良、肥満などが原因となり、生理痛や生理不順の症状が発生することがあります。生理不順は、通常3週から5週の間隔で起こり、期間は3日から7日までです。

一方、更年期は、女性ホルモンの減少による生理的変化が原因です。この時期に卵巣の働きが少なくなるとエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少し、様々な症状が発生する場合があります。更年期の初めは、身体的変化に伴い、寝汗、のぼせ、疲れや息切れを引き起こし、長い方であれば2年〜10年程度続き個人差が大きいのが特徴の一つです。

 

生理不調と更年期の共通点

1.ホルモンの変化による身体的変化
生理不調と更年期両方に、女性ホルモンによる身体的変化が見られます。これによって、肌や髪、爪などの健康に悪影響が出る場合があります。また、本来小さいはずの子宮筋腫が大きくなることで、呼吸困難や腸閉塞のリスクが大きくなることがあります。

2.骨密度減少
両状態でも、骨密度の減少や骨粗鬆症のリスクが高くなることがあります。このことは、年齢とともに進行することが多く、特に更年期前後では顕著になります。骨密度の低下は、女性の身体の中で非常に重大な問題です。

3.インスリン抵抗性
生理不順や更年期では、インスリン抵抗性が高まることがわかっています。インスリン抵抗性は、糖尿病のリスクを高めることがあります。

POINTなぜ生理不順や更年期ではインスリン抵抗性が高まるのか?
生理不調や更年期においては、体内のエストロゲンの量が変化することが原因でインスリン抵抗性が高まると考えられています。エストロゲンは、インスリンの作用を促進する効果があります。そのため、エストロゲン量が減ると、インスリンの効果が低下し、血糖値の上昇が抑えられずにインスリン抵抗性が高まります。
また、更年期には、体重が増加することが多く、肥満もインスリン抵抗性の原因の一つとなっています。
以上のように、生理不順や更年期においては、エストロゲン量の変化や体重増加などが、インスリン抵抗性の高まりを引き起こす原因となります。

4.自律神経の乱れがある
生理不調の場合、ストレスや食生活の乱れ、運動不足などが原因となって、あらゆる自律神経の乱れが生じます。更年期でも自律神経の乱れが生じますが、これはホルモンの急激な変化が原因となります。自律神経に関する症状には、頭痛、めまい、動悸、息切れ、貧血、立ちくらみなどがあります。

5.スキンケアや睡眠の変化
生理不調・更年期どちらも、ホルモンバランスの乱れにより肌の乾燥や荒れ、睡眠障害が起こることがあります。このため、適切なスキンケアや質の高い睡眠をすることが必要不可欠です。

 

生理不調と更年期の相違点

1. 発生する年齢
生理不順は主に20歳から40歳の間に発生します。一方、更年期はおおよそ50歳前後から始まります。

POINT更年期とは閉経を挟んだ前後5年間(計10年間)のことを指します。
日本人女性の平均的な閉経年齢は50.5歳であり45歳〜55歳を更年期と言われますが、閉経を迎える年齢は人それぞれに違うためその人にとっての更年期は閉経を迎えて初めて「あの時から更年期が始まったんだ」となります。
また閉経を迎える年齢は個人差があり40代で閉経する人もいれば、56〜57歳ぐらいまで月経がある人もいます。
月経の変化などから、ある程度見当がつくことも多いです。医学的には、「1年以上月経がない」場合に閉経と診断されます。

2. 治療法の違い
生理不調の場合、食生活の改善や適切な運動、ストレス解消が効果的なことが多いです。 更年期の場合、ホルモン補充療法が紹介されることがあります。更年期障害の場合、激しい症状がある場合には、医師の診断を受け、ホルモン補充療法を検討することが必要な場合もあります。大切なことは生理不調も更年期不調も「辛いと思う状態」が少しでもあれば医療機関を受診しましょう。

3. 治癒期間の長さ
生理不調はセルフケアや生活習慣の見直しなどで不調が落ち着く場合もありますが、更年期の場合は、症状が長期化してしまうことがあります。生理不調と自分では思っていてもその裏には女性特有の病気が隠れていることもあるため、「辛いと思う状態」が少しでもあれば医療機関を受診しましょう。

4.症状の種類
生理不調は、生理の間隔や流血の量など、比較的局所的な症状が見られます。一方、更年期は、のぼせや寝汗など、全身的な症状が現れることが多いです。更年期障害は、精神的な症状も強く出ることが多く、不安、イライラ、不眠症などの問題があります。

 

おわりに

生理不調と更年期には、女性ホルモンに関連した身体的変化が見られることが共通点です。しかし、発生する年齢、健康上のリスク、症状の種類など、異なる点もあります。生理不順や更年期障害についての理解が深まることを願っています。また、運動習慣、栄養バランスの改善、ストレスの軽減、快眠など、健康的な生活習慣の確立が症状を軽減するために非常に重要であることがわかりました。自分自身に合った適切な対処法を見つけ、健康な生涯を送るために、セルフケアとして取り組んでいきましょう。
自己流では効果を感じない場合や不安な場合は一度専門家に相談することをお勧めいたします。

 


このコンテンツは、病気や症状に関する情報を提供するものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分・効能を保証するものではありません。

 

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女性医療・更年期専門作業療法士として約20年間医療現場に従事する。女性医療に興味を持ったきっかけは自身の祖母のリンパ浮腫。2011年単身ドイツ・フランスに渡り1年間現地の医療機関に留学する。2021年、女性も男性も性ホルモンにまつわる不調によってキャリアや夢をあきらめることなく一人一人が健やかに過ごせる社会の実現を目指し起業する。9歳女児の母親。母子家庭で毎日忙しい中にも娘と共通の楽しみフラダンスが趣味。

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